甲状腺はのど仏の下のあたりにある臓器で、正常な状態だと触れることができませんが、腫れやしこりが生じると触れることができるようになります。
甲状腺からは甲状腺ホルモン作りだされ、新陳代謝を活性化させることで体の調子を整えていますが、甲状腺ホルモンが出すぎたり(甲状腺機能亢進症)、甲状腺ホルモンが足りなかったり(甲状腺機能低下症)するとさまざまな体の不調がでてきます。
具体的に甲状腺ホルモンの過剰や不足で起きる症状は、
「疲れやすくなった」、「やる気がでない」、「イライラして落ち着かない」、「多量の汗、寝汗をかく」、「暑がりになった」、「動悸がする」、「すぐに息切れがする」、「手足がふるえる」、「寝付けない」、「体重がへっていく」、「目が突き出たようになる」、「下痢気味になる」、「月経不順になる」、
逆に、「寒がりになった」「肌が乾燥し、カサカサになった」、「睡眠をとれているのにいつも眠い」、「体重が増えていく」、「顔や手足がむくむ」、「便秘気味になる」、「髪の毛やまゆ毛がうすくなった」、「物忘れが多くなった」
など、ちょっとした体調不良でもあるような症状です。
ささいな症状のため、検査を受けられず長期間体調不良をお持ちの方が多いです。
このような体調不良が長期間になる場合には甲状腺ホルモンの値を一度検査することをおすすめします。
甲状腺の検査は血液検査で甲状腺ホルモンの量や特殊な抗体の存在を調べたり、超音波検査で甲状腺の形や大きさなどを調べることなどで行います。
甲状腺の病気の種類により治療は異なりますが、長期的な治療が必要となる、バセドウ病や橋本病では薬物療法が中心になります。定期的に行われる血液検査をもとに、甲状腺機能亢進症の場合は甲状腺ホルモンを抑える薬を、甲状腺機能低下症の場合は甲状腺ホルモンを補充する薬を服用し、血液中の甲状腺ホルモンの量をコントロールしていきます。
こうした治療により甲状腺の腫れはおさまり、自覚症状も緩和していきます。
ただし、薬物による治療は長期間にわたることがあり、治癒後も再発の可能性があります。
甲状腺機能亢進症の方で薬物療法で改善されない場合には、甲状腺専門医療機関をご紹介します。病状によっては放射線治療(アイソトープ治療)や手術療法の適応になることがあります。
また甲状腺の超音波検査で甲状腺のしこりがみつかることがあります。ある程度の大きさがある場合には、悪性の可能性について細胞を取って精密検査をおこなったり手術の検討がされることもあるため、検査の可能な医療機関をご紹介します。